はじめに
みなさん、こんにちは。
今日はスタジオジブリの劇場版最新作『君たちはどう生きるか』の感想を書いていこうと思います。
君たちはどう生きるかはこんな人にオススメです。
スタジオジブリの作品を劇場で観たい方!
評価は観る人によって「好き!」と「う~ん」の極端に変わるような作品に思いました。
ちなみに僕は「う~ん」サイドです。
これを読めば、きっと『君たちはどう生きるか』について分かっていただけると思います。
ちなみにネタバレもあるので気を付けてください。
『君たちはどう生きるか』のあらすじ
あらすじと言われると難しいですね。
舞台は戦時中。
主人公の眞人は病院の火事で、入院していた母を亡くします。
それから父が再婚し、新しいお母さんとなる夏子に出会う。
夏子のお腹には赤ちゃんがいました。
新しい生活になかなか慣れない中、家の前の池にアオサギがいるのを見つけた眞人。
そのアオサギが突然話しかけてくるのです。
「母があなたを待っている。死んでなんかいませんぜ」
そんなはずはない‼ と眞人は反発します。
アオサギは、「お待ちしておりますぜ!」と言い残し、裏山の方へ飛んで行ってしまいます。
そんなとき、つわりのため自室に籠っていた夏子が、山に入っていくのを眞人は目撃しました。
眞人は使用人のおばちゃんと一緒に夏子を追って、山の中に入っていきます。
その先には洋館があり、アオサギの、「来ると思っていましたよ」と言う声が響きました。
奥に進むと螺旋階段のある不思議な広い部屋に着きます。そこにはアオサギ。
「夏子さんはどこに行ったのか」と聞くと螺旋階段の上から、「案内してあげなさい」という誰かの声が。
アオサギは、「せいぜい御無事で」と言うと床の中に沈んでいきました。
続いて、眞人と使用人のおばちゃんも沈んでいきます。
沈んでいった先は大量のペリカンのいる岬でした。
ここから先はよく分からないです(笑)
人食いインコが出てきたり、火を操る少女が出てきたり、カワイイのがたくさん出てきたり、とにかくジブリ感満載の世界が続きます。
果たして、眞人は夏子を救い元の世界に戻れるのでしょうか?
『君たちはどう生きるか』は面白いのか?
ネットの評価を見ていると、☆1と☆5の両極端に分かれています。その結果、平均が☆3になっているような感じです。
刺さる人と刺さらない人がハッキリ分かれるわけですね。
僕は刺さりませんでした。
刺さらなかった理由
ルールがよく分からない
父の再婚相手である新しいお母さんがファンタジーの世界に行ってしまい、主人公の眞人が連れ戻しにファンタジーの世界に飛び込むというのが大筋のストーリーです。
親を助けるために、ファンタジーの世界で頑張る。
似たような作品は『千と千尋の神隠し』だと思います。
ここで僕が、「おお!」と思った批評を紹介したいと思います。あくまで千と千尋の批評です。
ところで宮崎駿という人は、とてつもない妄想力の持ち主である。それまで数年に一本のエンターテインメントを作っていたからには、さぞかし膨大な「使いたいけど使えないイメージ」が溜まっていたにちがいない。何が言いたいかというと、映画『千と千尋の神隠し』のトンネルの向こう側の世界は、さまざまな事情によって不遇をかこっていたイメージたちのよみがえった場所ではないかということなのだ。
引用:太陽と乙女 P150
本作もこんな感じな気がします。
『千と千尋の神隠し』はジブリを代表する作品ですよね。
でも、「どういうストーリー?」と聞かれると困る方も多いのかなと思います。
それはやっぱり、カオナシをはじめとする摩訶不思議な世界やキャラクターの存在が大きいと思います。
唯一分かったことと言えば、「千尋は親をもとの人間の姿に戻した」ことだと思います。
ラピュタやもののけ姫に比べて分かりにくい設計になっていたと。
しかし、多くの人に刺さった作品です。
では、千と千尋やラピュタ、もののけ姫の共通点とはなんでしょうか?
それは最低限のルールが提示されているところだと思いました。
ラピュタで言えば、
- みんながラピュタを探している
- みんなが飛行石を求めている
- ムスカは悪い奴
もののけ姫で言えば、
- エボシはタタラ場の長
- タタリ神は厄介
- シシ神は生と死を司る神
千と千尋で言えば、
- 湯婆婆が湯屋のボス
- ハクは味方かも
- お客様(神)を喜ばせないといけない
今までの作品を観ていると、キャラクターの上下関係や敵対関係などなどストーリーを楽しむうえで大切なルールとなる部分が散りばめられてきました。
しかし『君たちはどう生きるか』には、そういった大切なルールがまるっきり抜けてしまっているのです。
宮崎駿の抱くイメージを繋げるうえで大切な「ルールの統一」がなされていないように思いました。
いつか思いついたこのシーンとこのシーンを繋げてみよう!
そんな風に作ったのではないのかと。
そのためポスターにもなっているアオサギは、まあ仲間なのですが、行動の整合性がとれていないため混乱します。
野球場でサッカーをしたら得点はどう入るの? みたいな混乱が2時間続きました。
書きたいたいものだけを書きたい。書きたくないものは書きたくない。しかしそんなワガママを言っていると、こんどは物語が支離滅裂になり、世界そのものが壊れていく。 物語とイメージ。 両者のほどよいバランスを見つけだすことが、私にとって「エンターテインメントを作る」ということである。
引用:太陽と乙女 P149
引用元の作者、森見登美彦さんもなかなかぶっとんんだ小説を書かれます。しかし、京都の街並みを駆け巡る大学生というルールをちゃんと提示してくれています。
バランスを取れているわけですね。
『君たちはどう生きるか』はイメージに偏り過ぎてしまっています。エンタメではありません。
これをアートとか芸術とか言われたら、もう納得せざるを得ません。
ああ、こっちの捉え方が間違っていたんだなと。
そして僕は、ジブリがファンタジーとエンタメの境界線を葛藤しながら手探りで探す感じが好きだったんだなと感じました。
本作にはその葛藤が見当たらなかったように感じてしまいました。
ワクワクがない
再び千と千尋です。
カオナシがいきなりカエルを食べたところを見て、みなさんは何を思いましたか?
僕は、「とんでもない奴が来た!」と思いました。
めっちゃ怖かったですよね。
もののけ姫ならラストシーン。
ラピュタのバルスのところ。
など印象に残りやすいところがあるはずです。
しかし『君たちはどう生きるか』ではあまり印象に残った、いわゆるクライマックスシーンがありませんでした。
レビューにある、「ヌルっと終わった」みたいなのはこれが原因だと思います。
鑑賞後にいまいち何も残らない。まるで宮崎駿の夢でも観ていたような作品です。
それでもオススメしたい!
オススメポイントは、
ジブリ感!
もう一度言います。
ジブリ感!
そうジブリ感です。
いたるところにジブリって感じが溢れています。
これを劇場で観れるなんて感激ですよ!
トーストは出てくるし!
スープも出てきます!
冒頭の走るシーンなんて、「おお! ジブリじゃん!」となりますから!
そして宮崎駿が調整せずにぶっこんできた様々な世界!
これを全身で浴びることが出来るんですから幸せですよ!
絶対劇場で観るべき!
絶対に劇場で観るべきです。
金曜ロードショーで観るべき作品ではありません!
今の時代、テレビで映画を観るとどうしてもスマホ片手になってしまいます。
スマホ片手に観たら絶対につまらないです。
それではダメなのです。
劇場で向き合ってこその作品だと思います。
本作は情報が全然表に出てこないかなり珍しい作品となっています。
スラムダンクは、「バスケなんだな」とか予想というか、分かってしまいますよね。
しかし、今の情報が溢れ返る時代にスタジオジブリの映画をなんの情報もなく観れるなんて素晴らしいことだと思います。
その体験にこそ価値があると思うのです。
劇場で『君たちはどう生きるか』と向き合ってください。
そして、鑑賞後に悩んでください(笑)
まとめ
今回はスタジオジブリの最新作『君たちはどう生きるか』の感想を紹介しました。
みんなに面白いから観た方がいいよ、とは言いづらいですが、それでも観た方がいいですよ。
せっかく劇場でジブリが観れるんですから!
それではノシ!